無理なく効果的に犬の問題行動を改善していく方法が、トイレ・引っ張りぐせ・甘噛み・無駄吠え・飛びつき・他の犬に吠える・ハウスに入らない・拾い食いなど、こうした問題行動を犬に極力ストレスを与えず、叱ることもなく、再発しないよう根本から改善できる方法あるそうです。
この記事の目次
パックリーダー理論(支配性理論)を犬に適用することは非科学的な考え
・トイレができない
・無駄吠えが多い
・散歩中に他の犬、バイクなどに吠える
・電話やインターホンが鳴ると吠える
・よく咬みつく、咬み癖がある
・引っ張りグセがあって散歩が大変
・すぐに飛びつく
・ハウスに戻らない
・拾い食いをしてしまう
・「まて」「ふせ」「おいで」などの基本動作ができないなど、悩みを抱く飼い主さんはとても多いようです。
科学的な裏付けのあるアプローチによって無理なく効果的に犬の問題行動を改善していく方法があるのです。
パックリーダー理論とは
アルファシンドローム(権威症候群)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
あるいは、パックリーダー理論とか単にリーダー理論、または支配性理論といった言葉です。
パックリーダー理論の“パック”というのは“群れ”という意味です。
要は「犬のような群れで生きる動物たちは順位が上のモノには服従するが、下位のものには支配的な行動を示す」といった考えです。
もう少し詳しくお伝えすると、このような理論になります。
メンバーは服従しているリーダーには従うが、他のメンバーには従わない。
犬の場合も同様にリーダーに服従すれば従うが、そうでないなら従わない。
もし、人間がリーダーにならなければ、犬がリーダーになって支配するようになり、問題行動を起こすようになります。
飼い主が犬よりも上の立場になり、忠誠心を持たせて服従させるといいということです。
そうすれば、問題行動はなくなって正しくしつけられるというわけです。
しかし、残念ながら主従関係を構築するというパックリーダー理論(支配性理論)を犬に適用することは非科学的な考えであり、まともなしつけはできません。
パックリーダー理論による考え方のしつけは、ひと昔前の非科学的な方法
パックリーダー理論(支配性理論)は一昔前の1990年代に主流となった考えですが、今ではそもそもの前提からすでに間違っていると指摘されています。
パックリーダー理論(支配性理論)は狼の習性を前提としていましたが、2000年以降DNAの調査などで「犬は狼を先祖とするが、もはや狼と同じではない」「狼の群れは実は家族単位だった」など、その前提が合っていないんです。
つまり、パックリーダー理論(支配性理論)を犬に当てはめることは間違っているということが明らかになっていきました。
アメリカ獣医行動学会(AVSAB)は2009年に家庭犬のしつけや問題行動の改善にはパックリーダー理論(支配性理論)を使うべきではないという声明を出しています。
当然、科学的な見地があっての声明です。
つまり、いまだに主従関係にもとづいたしつけをしているということは、ひと昔前の非科学的な方法を有効だと勘違いしているということです。
しかも、パックリーダー理論(支配性理論)で有効だと考えている罰を使ったしつけは、犬との信頼関係を壊し、問題行動に発展するケースさえあります。
つまり、犬がかわいそうなうえに、効果に疑問があるような理論が主従関係を築いて犬を従わせようという方法だということです。
犬と飼い主との間に必要なのは主従関係ではなく親子間のような信頼関係です。
パックリーダー理論が原因と考えられるよくある勘違と効果的なしつけは
パックリーダー理論が原因と考えられるよくある勘違いの1つが叱ってしつけるということです。
叱る(嫌なことをして行動を減らすアプローチ)ことは、理論的には効果がないわけではありません。
実は叱ることが効果を発揮するには次の3つの条件をすべて満たさなくてはなりません。
1.問題行動を起こしたら間髪入れずに叱る(嫌なことを起こす)
2.適切な強さで叱る(嫌なことを起こす)
3.問題を起こしたら例外なく必ず叱る(嫌なことを起こす)
多くの場合、こうしたことを知らずにただ叱っているため問題行動が改善されません。
問題行動を見落とすことなく叱るというだけで非現実的ですし、問題を起こしたら即座に例外なく必ず叱るなんてことも無理があります。
四六時中、常に見張っていないと効果を発揮する叱り方ができません。
効果的に犬の問題行動の改善、しつけができる方法は
問題行動を見落とすことなく叱るというだけでも非現実的です。また、問題を起こしたら即座に例外なく必ず叱るなんてことも無理があります。
では、どうしたら効果的に犬の問題行動の改善、しつけができるのでしょうか?
その答えは科学的に効果のあると分かっている方法で対処することです。
犬の脳の構造、犬の学習理論、行動分析学といった科学的に解明されていること、統計的に有意だと分かっている方法論をベースに問題行動の改善、しつけを行なうことが最も効果的と考えていいでしょう。
科学的な裏付けをもとにした犬の特性を理解した上で根拠のあるやり方で無理なく対処すれば、犬に強いストレスを与えることはありません。
余計な負担はかかりませんし、痛めつけることもありません。
犬との関係を良好にしながら問題行動をなくし、飼い主が愛犬にとってほしい行動をとらせることもできます。
この統計的に有意だと分かっている方法論をベースに問題行動の改善、しつけを行なうことがストレスを与えず、叱ることもなく、再発しないよう根本から改善でき、犬と飼い主との間に親子間のような信頼関係が大切と思います。